VOICEPATH|声の通り道
声を出さずに、呼吸の通り道を感じてみる。
VOICEPATH 01では、小さな振動が無理なく始まる場所を探しました。 VOICEPATH 02では、その振動を「HO」の丸みのまま低い音から高い音へ動かしました。
第3回は、いったん声を出さずに、身体と呼吸だけを扱います。 自分で息を吐いたり吸ったりするのではなく、身体の形が変わると、 息が自然に外へ出たり、内へ戻ったりすることを観察します。
呼吸を「操作するもの」から、 身体の動きに便乗して起こるものへ。 声を出す前の通り道を、身体全体から整えていきます。
今回のレッスンで扱うこと
呼吸を意識すると、「吐こう」「吸おう」と先回りしてしまうことがあります。 すると、お腹や胸、肩まで必要以上に働き、 身体の動きと呼吸が別々になりやすくなります。
今回は椅子に座り、正中線を細く長く保ちながら、 骨盤をゆっくり後ろへ傾けて背中を丸めます。 身体が小さくまとまる方向へ動くときに、息が自然に外へ出ていくかを観察します。
そして上体をゆっくり元へ戻すときは、 胸やお腹の空間が戻るのに合わせて、息が自然に入ってくるかを感じます。 吐く・吸うを先に決めず、動きに呼吸をまかせるのがポイントです。
なぜ身体を丸めると、息が動くのか
骨盤を後ろへ傾けながら背中をゆっくり丸めると、 胸とお腹の空間は少し小さくなります。 首や喉をつぶさず、息の通り道が保たれていれば、 その形の変化に伴って息が外へ出やすくなります。
反対に、急がずに身体を元へ戻していくと、 胸とお腹の空間も戻り、次の息が入りやすくなります。
大切なのは、腹筋で息を押し出したり、 胸を持ち上げて吸い込んだりしないこと。 身体の動き → 空間の変化 → 呼吸がついてくる。 この順番を身体で覚えていきます。
呼吸と所作がひとつになってくると、 声を出すときにも「まず息をつくらなければ」と構えにくくなり、 身体の動きの中から自然に声へつなげやすくなります。
感覚キュー
- 正中線は、細く長いまま
- 顔は正面。顎を胸へ押し込まない
- 背中を丸めても、首と喉の通り道はつぶさない
- 吐くのではなく、出ていく
- 吸うのではなく、入ってくる
- 動作を急がず、息が追いつく時間を残す
3 MINUTES VOICEPATH
3分で、身体と呼吸をひとつにつなぐ
0:00–0:30|正中線を細く長くする
椅子に浅すぎず深すぎず座り、足裏を床へ預けます。 頭のてっぺんから骨盤まで、身体の真ん中に細く長い線があるように感じます。
胸を張る必要はありません。肩・顎・お腹は楽なままで構いません。
0:30–1:00|ゆっくり丸まり、出ていく息を見る
骨盤を少しずつ後ろへ傾けながら、背中を下から順番に丸めていきます。 息を吐こうとせず、身体が小さくなるにつれて息が外へ出ていくかを観察します。
顔は正面を保ち、顎を胸へ押し込まないようにします。 首と喉には、細い通り道を残しておきます。
1:00–1:30|ゆっくり戻り、入ってくる息を見る
今度は骨盤からゆっくり元の位置へ戻ります。 身体を起こそうと力むのではなく、正中線が少しずつ長く戻るイメージです。
吸おうとせず、身体の空間が戻るのに合わせて、 息が自然に入ってくるかを感じます。
1:30–2:00|もう1往復、呼吸を先回りしない
同じ動きをもう1往復します。 丸まる前に吐かず、戻る前に吸わず、 動いてから息がついてくる順番を確かめます。
2:00–2:35|出る息に便乗する
もう一度ゆっくり丸まり始めます。 自然に息が出始めたら、その流れに便乗するように、 吐きたい分だけ静かに息を続けます。
押し出したり、最後まで吐き切ったりする必要はありません。
2:35–3:00|入る息に便乗する
ゆっくり身体を戻します。 息が入り始めたら、その流れに便乗して、 自然に入りたい分だけ受け取ります。
最後は何もせず、呼吸がそのまま続くのを数秒感じます。
この回では、声は出しません。
※動作中に息苦しさ、めまい、痛みがある場合は中止してください。 背中を大きく曲げることが目的ではなく、無理のない小さな動きの中で呼吸の変化を感じるワークです。
呼吸を上手にする練習ではありません。
深く吸うこと、長く吐くこと、たくさん空気を入れることが目的ではありません。
身体の動きに合わせて、息が自然に出入りしていることに気づくこと。
それが、身体・呼吸・声をひとつにつないでいくための土台になります。
うまくいっているサイン
- 吐こうとしなくても、丸まると息が少し出る
- 戻るときに、自然に息が入ってくる
- 肩や首をほとんど使わずに動ける
- 動作と呼吸のタイミングが重なってくる
- 終わったあとも呼吸が静かに続いている
やりすぎのサイン
- 顎を胸へ強く引きつけている
- 肩から一気に身体を丸めている
- お腹を強く締めて息を押し出している
- 戻るときに大きく吸い込んでいる
- 動きを急いで、息が追いつかなくなっている
その場合は動きを半分くらい小さくして、 「呼吸する」より「息がどう動くかを見る」に戻ってみてください。
VOICEPATHの次へ
今回は、声を出さずに、身体の形の変化と呼吸をひとつにつなげました。
ここで見つけた「身体に便乗する息」は、 次に声を出すときの土台になります。 呼吸を先につくらず、身体の動きの中から生まれた息を、 少しずつ響きへつなげていきます。
息を動かすのではなく、身体が動くと息も動く。
その感覚が、声の通り道をもう一段深くします。
身体が丸まる動きに息が便乗して出ていき、戻る動きに便乗して息が入ってくる。呼吸を操作せず、身体の形の変化として受け取る。だから、声を出す前から、響きに呼吸感が宿る。
NEXT VOICEPATH
呼吸をつくるのではなく、
身体の動きから受け取る。
VOICEPATHでは、声だけを切り離して練習するのではなく、 身体・呼吸・響きがひとつにつながっていく順番を大切にしています。
実際のCoeCoqレッスンでは、 「どこから丸まるか」「いつ息が動き始めるか」「どこで呼吸を操作し始めるか」 を一人ひとり確認しながら、次の発声へつなげていきます。
呼吸を意識すると力む、息を吸おうとすると肩が上がる、声と身体の動きを自然につなげたい方にもおすすめです。